トムデマルコの「デッドライン」シナリオまで面白いプロジェクト管理の本

2020年04月29日 00時04分

トムデマルコの本は結構好きで、「熊とワルツを」、「ピープルウェア」も読んでいる。

そんな中、僅差ではあるが日本 Amazon で「熊とワルツを」よりも多いレビュー数及び好印象な評価を記載されているのが本書「デッドライン」だ。

amazon の紹介ページより

多くのツール、手法そして概念がその解決策として取り上げられているが、それだけでは解決しない。

プロジェクトを形成するのは人であり、プロジェクトマネジメントに人が占める要因は決して小さくないからだ。

本書は、その「人」についてフォーカスを当ててプロジェクトマネジメントを語っている。

今なお色あせないプロジェクト管理の入門書

トムデマルコの本は小さな物語をいくつも積み上げていくスタイルをとっている。ただ、今作は完全に小説仕立てになっている。

今でこそマンガで分かりやすく、小説で分かりやすく物事を学ぶことができる本が出ているが、これを 1990 年代に出版している点からも素晴らしい。

更に小説の内容も良かった。

当初は人員も締め切りも自由にコントロールできるプロジェクトマネージャーだったが様々な政治的な要因で制限や規則ができていく。

また人員の選定、メンバーの調整、肥大化したチーム、規約、見積…そういったプロジェクト内のよくあるそして悩まされる部分をどう見積もって解決していくかをステップバイステップで解決していく。

ファンクションポイントでの見積もり、要因の交代まで見据えたチームのパフォーマンス、チーム内の人間関係を円滑にする触媒を探す話が好きだ。

小説仕立てなのでどうしても記載内容が分厚くなってしまうが、それでも一連のストーリーとして頭に入ってきやすい本だと思う。

この GW にぜひ手に取ってみてほしい本です。