児童へのソーシャルスキルトレーニングについて【保護者向け】

2018年1月2日 支援内容を具体的に追記しました。

ふくどん
放課後等デイサービスや就労移行支援事業所ではソーシャルスキルトレーニング(SST)が支援の一環として紹介されています
ふくどん
今回は、SSTについて気になる所を紹介していきたいと思います

ソーシャルスキルトレーニングとは

ふくどん
みささん、そこの雑誌とって
みさ
・・・。今ちょっと忙しいんですけど
ふくどん
あっそ
みさ
(怒)

上記の会話を見て、みささんはどう感じたでしょうか。

ふくどんは、礼儀知らずで失礼な言い方をするな。と感じたのではないでしょうか。私たちは、友人や保護者とのやり取りを通じて、相手が不快に思わない会話のやり方を学んできました

しかし、見て学ぶことが苦手であったり、そもそも他人に興味が無く他人を見ていない場合もあります。そうした児童は、会話や礼儀作法を学ぶことが難しくなります。上のような会話を学校で行っているならば、上級生や友人とケンカ、もしかするとイジメの対象になるかもしれません。

他者との交流で問題を起こさないために、会話のやりとり、礼儀作法、感情表現などの技術を訓練することを、ソーシャルスキルトレーニングと呼びます。

支援の位置づけ

ふくどん
他人と交流する技術の習得が一人では難しい児童がSSTの対象になります。もちろん、児童の学年、抱えている課題、保護者の要望によって重要度や支援内容は変化していきます

放課後等デイサービスでは、学年の違う児童が集まり同じ時間を過ごすため、上下関係を学べること、集団の中での過ごし方を学べる他の利用者とスタッフのやり取りを近くで学べるなど、利点はとても多いです。

しかし、教育・心理面の知識が無いと適切な行動を促すことはなかなか難しいため、特別支援学校教諭、臨床心理士、作業療法士など有資格者、もしくはSST普及協会に所属する方のところでの指導が望ましいとは思います。

支援内容について

支援内容は児童の状況や施設の状況によって異なりますが、例としていくつか紹介いたします。

1.感情の確認(こころの温度計など)

感情は目に見えません。目に見えないものをとらえることが苦手な児童に対して、「こころの温度計」というテーマで、感情の定量化を行うことや、「気持ちの木」というテーマで感情の言語化を行っていきます。

こころの温度計では、嬉しい気持ちにも度合があることに気付いてもらいます。嬉しかったことの基準を1つ決め、児童と一緒に「この出来事はどれくらいの嬉しさだっただろうか」考えてもらいます。

同じ嬉しいでも度合があることを私たちは知っていますが、目に見えないものを言葉にすることが苦手な児童は、気持ちの温度をつかむ時間をとらないといけないかもしれません。

私たちは悲しいことがあった時、どれくらいの悲しい事なら、友達に相談するのか、先生に言うのか、家族に言うのか何となく把握できていると思います。

けれど心の温度を知っていないと、とても悲しいことでも、些細な悲しいことでも先生に報告するかもしれません。

2.場面把握、発容の確認(何て言う?)

適切な場面に適切な事を言う。これは、周囲を見て、過去の経験に照らし合わせて、適切な発言をする。の3ステップを取っています。

私たちも経験がないと過去の経験に照らし合わせることができないため、初めての場所では緊張してうまく話せないこと、行動できないことがあります。

大人よりもっと経験の少ない児童は、もっと大変です。学校で何といって話すのが適切なのか。周囲をよく見れる児童はそこまで練習しなくても良いかもしれませんが、周囲を見ることが苦手な児童は予習が必要です。

「何ていう?」は吹き出しの中に言葉を入れる課題です。友だちが失敗してしまった時、何と声をかけるべきか。一緒に話し合います。児童の個性を尊重しながら、社会的に正しい声掛けに近づけるように練習を行っていきます。

吹き出しを埋めることが難しい児童であれば、選択肢のある課題でも良いでしょう。大切なのは、学校で起こりうる場面を想定して、社会的に正しい振る舞いができるように練習することですから。

3.ルールを守る(今日のお約束)

SSTを実施するにあたって、ルール決め、目標設定は欠かすことはできません。ルールは口頭で伝えるだけではなく、児童に読んでもらったり、気が散らないのであれば、児童の良く見えるところにルールを貼ることも良いでしょう。

実際の学校生活でルールを守ることはとても大切です。レクリエーション活動や集団行動をする際に、「今日のお約束」を伝える事は大切です。

衝動的に動いてしまう児童や視覚優位な児童に対しては、目に見えるお約束を用意するのを忘れずに。

けれども、実生活のルールは、口頭で伝えられるものが殆どで、視覚的に提供されるものは学校の月間目標と時間割くらいであまりありません。

ですので、視覚的な情報を徐々に減らしていく事も大切です。

大人になっても必要になってくるSST

ふくどん
児童が大人になればSSTは必要なくなるのかと言えば、そうではありません
みさ
対人関係に関する技術に終わりは無いものね・・・
ふくどん
その通りです。それに加えて、社会では仕事の進め方や悩み事を誰に言うかまで、学校とは大きく異なっています。そのため、社会人用のSSTを受ける必要があるかもしれません

おわりに:職場と学校は違うからこそ知識や技術の習得を

職場では、報告・連絡・相談が欠かせない。これは本や新人研修などで学ぶことですが、具体的な方法は職場によって異なります。

見ることが苦手な方、他人への関心が薄い方は、職場ごとによって違うルールに戸惑い、不適合を起こすことがあります。

そのため障害特性に理解のあるメンターやジョブコーチが入り、職場への適応を促す必要があるかもしれません。こうした職場への適応のためのスキル獲得も、やはりSSTの一環だと言えます。

本来であれば、対人関係のスキルが弱いといった部分は見ずに、長所を伸ばすことが理想なのですが。難しい課題です。